雑記

ネタバレ完全解説『パラサイト 半地下の家族』

2020年(第92回)アカデミー賞®最多4部門受賞(作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞)の「パラサイト 半地下の家族」を名古屋の伏見でみてきました。外国語映画で、作品賞受賞は史上初の快挙ということです。韓国の格差社会を舞台にしており、ある貧乏家族が普段接点のないお金持ち家族で働くことになります。ところが、自分たちが代わりに追い出した家政婦がある秘密を抱えて戻ってきて、、という内容です。ジャンルとしてはサスペンスになると思いますが、コメディーの要素も多分にあって比較的気軽にみられると思います。見終わった後、ポン・ジュノ監督の言葉が(あたりまえですが)完璧に映画を紹介していると思いました。

作品のテーマ

「違った環境や状況に身を置く人々が、同じ空間に一緒に住むことは容易ではありません。この悲しい世界では、共存や共生に基づく人間関係が成り立たず、あるグループが他のグループと寄生的な関係に追いやられることが増えています。そのような世界の真っ只中で、生存をかけた争いから抜け出せずに奮闘する家族を誰が非難したり、“寄生虫”と呼ぶことができるでしょう?彼らは初めから“寄生虫”であったわけではありません。彼らは私たちの隣人で、友人で、そして同僚だったのにも関わらず、絶壁の端に押しやられてしまっただけです。回避不能な出来事に陥っていく、普通の人々を描いたこの映画は「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」であり、激しくもつれあい、階段から真っ逆さまに転げ落ちていきます。この止めることのできない猛烈な悲喜劇に、みなさまをご招待いたします。」

あぁ、「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」というのは言い得て妙だなと思うのです。舞台は失業中の家族の長男が、友達の紹介でお金持ちの家庭教師をすることになり、でも学歴がないから誰でもするような嘘をついて職をえます。そのなかでチャンスを見つけて妹もそこで働くようになり、、と長男のギウも長女のギションも自分の生活のために必死なだけなのです。それに、格差社会のなかでは、(自分たちは虐げられているのだから)「これくらいはしても当然」という意識があるのもすごくわかります。一方、舞台のお金持ち家族が悪いわけでもないし、「秘密」を抱えた家政婦が悪いというわけでまったくありません。

すごくよかったのは「先が読めない」&「思っているよりどんどん面白くなっていく」ということだったんですよね。ハリウッドではないということもありますが、「悪役のいない悲劇」ということで勧善懲悪の映画ではないからこそなのだと思いました。先がわからないものをおもしろくしているのは監督はすごい方なのだと思いました。

登場人物たち

登場人物は多いのですが、グループに分けると簡単です。

    ・半地下に住んでいる主人公の家族。4人家族。職がなくて困っている。
    ・主人公たちが働き始めることになったお金持ちの家族。4人家族
    ・主人公たちが追い出すことになる住み込みの家政婦

半地下に住んでいる主人公の家族。4人家族。職がなくて困っている。

    ギテク(ソン・ガンホ)

お父さん。貧乏気ままな、4人家族の大黒柱

    チャン・ヘジン

お母さん。甲斐性なしの夫に喝!元ハンマー投げ

    チェ・ウシク

長男。大学入試に失敗し続けている“受験のプロ” 長男。大学生じゃないのに受験のプロというのが韓国の学歴社会を描いています。

    パク・ソダム

長女。予備校に通えず、スキルだけが上達!美大へ行きたいギテクの長女

2。主人公たちが働き始めることになったお金持ちの家族。4人家族
主人公家族がパラサイトすることになった家族。お母さんはかわいくて性格がいい。お父さんはIT企業の社長で頭脳明晰で非のうちどころのないイケメン。それと子供達は高校生の娘と6歳くらいの男の子。お父さんは「この人が高級取りでいけないことなんてなにもない」というくらい完璧だし、お母さんもかわいくて性格がいいだけでやっかむほうがひねくれている。でも、「お金が余裕」を生んでいるというのも事実で、作品のなかでそれがなんども描写されて真実すぎて辛いなと思いました。

3。主人公たちが追い出すことになる住み込みの家政婦
そしてトリックスターである家政婦。長男に続いて他の家族が嘘をついて職を得る中、お母さんは家政婦の職を前の家政婦を首にすることで職を得ます。この家政婦は金持ち家族よりも長くこの家で働いていて、誰よりも家のことを知っているという前振りが最初にありました。この家政婦が、首になってからしばらくして戻ってきます。それは止むに止まれぬ理由なのですが、ここから事態が急変します。

ネタバレ含めた解説

以下については、その後の流れを書いてしまうので、「なにもしらないで映画をみたい!」という方はみないようにしてください。
お金持ち家族がキャンプで日を開ける日がきます。そしてその夜、家政婦が帰ってきます。前家政婦は、格差社会の犠牲者である夫を地下室に匿っていたのですが、突然首にされたので夫を連れ出す時間がなかったのです。そしてひょんなことから、前家政婦と夫は、主人公家族が嘘をついて働いていることに気づき、それを使って騙します。そして主人公家族と前家政婦で諍いが起こるのです。

この映画のおもしろいところは、格差社会の犠牲者であるもの同士の諍いが自分たちの家で起こっているにも関わらず、それに気づかず優雅に暮らすお金持ち家族の日常を描写していることです。お金持ち家族が悪いというよりは、気づかないのです。それがまさに監督が「違った環境や状況に身を置く人々が、同じ空間に一緒に住むことは容易ではありません。」といったことなのだと思います。格差社会の象徴を描写していると思いました。

最後、主人公家族は前家政婦を意図せず殺してしまいます。前家政婦の夫は、仕返しをするために、もっとも優雅に描写される場面であるお金持ち家族の長男の誕生日にまったく不釣り合いの出で立ちで現れ現場は殺人事件の現場となってしまいます。そして映画は終焉とむかっていくのですが、全体を通して言えるのは、それぞれの人にはすべて理由があって行動をしている、誰が悪いというわけではないということです。それなのに全体として事態がそういう方向に向かってしまっているというのが「道化師のいないコメディ」「悪役のいない悲劇」だなぁと思うのです。

最後、主人公家族の長男は回想します。そして、真っ当にお金を稼いで生活する決意を固めます。その純真さゆえに、観客は長男の決意を報いる社会であってほしいと願わざるを得ません。そして映画は終了します。

 

 

役者さんの紹介

最後、役者さんの紹介をします。お金持ち家族の妻が可愛かったな。。

ソン・ガンホ
SONG Kang Ho
as キム・ギテク
1967年1月17日生まれ、大韓民国・金海市出身、演劇界で俳優のキャリアをスター
トさせ、「豚が井戸に落ちた日」(96/ホン・サンス監督)で映画デフューそ
の後、大ヒット映画「シュリ」(99カン・ジェギュ監督)をはじめ、キム・ジウ
ン監督『クワイエット・ファミリー』(98)、『反則王』(00)、『グッド・バッ
ド・ウィアード」 (08)、パク・チャヌク監督『ISA』100)、『復讐者に帰れみ
を」 (02)、『親切なクムジャさん』(05)、『渇き』(09) など名だたる音
とタッグを組み、韓国を代表する実力派俳優として確固たる地位を築く。そのほか、
の出演作に『大統領の理髪師』 (04/イム・チャンサン監督)、『南極日誌』(05
イム・ビルソン監督)、『シークレット・サンシャイン』 (01/イ・チャンドン
監督)、『凍えるオ(12/ユ・八監督)、『観相師 かんそうし』(13/ハン・
ジェリム監督)、『弁護人」(13/ヤン・ウソク監督)、「王の運命一歴史を変え
た八日間―」(15/イ・ジュニク監督)、『密偵』 (16/キム・ジウン)、『タ
クシー運転手~約束は海を越えて~」 (17/チャン・フン監督)、Netflixオリジ
ナル映画「麻薬王」(18/ウ・ミンホ監督)などがある。ポン・ジュノ監督からの
信頼も厚く、これまでに『殺人の追憶』(03)、『グエムル-漢江の怪物-』。
(6)、『スノーピアサー」(13)に出演、国内外の映画祭で受賞を重ね、高く評価
されてきた。最新作『パラサイト半地下の家族』(19)は同監督4作目の出演とな
る。

チャン・ヘジン
CHANG Hyae Jin
as キム・チュンスク
1975年9月5日生まれ。大韓民国出身。映画「クリスマスに
雪が降れば」(98/チャン・ドンホン監督)でデビュー。
『シークレット・サンシャイン』 (07)、カンヌ国際映画
祭で脚本賞を受賞した『ポエトリー アグネスの詩』(1
0) など名匠イ・チャンドン監督作品に続けて出演。『わた
したち』(16/ユン・ガウン監督)では、子供への愛情と
家庭の問題の間で揺れる母親役を演じ、確かな演技力が絶
賛された。

チェ・ウシク
CHOI Woo Shik
asキム・ギウ
1990年3月26日生まれ。大韓民国・ソウル特別市出身。幼少期にカ
ナダに移住、学生生活を過ごす。その後韓国に戻り、TVドラマ「チ
ャクペ-相棒-」 (11)で俳優デビュー。その後も「素敵な人生づく
り」 (11)、「屋根部屋のプリンス」(12)、主演「ホグの愛」
(15) など数多くのTVドラマに出演。映画では、『新感染 ファイナ
ル・エクスプレス』 (16/コン・サンホ監督)、『ときめきプリンセ
ス婚活記』(18/ヨン・ウジン監督)、「ゴールデンスランバー』
(18/ノ・ドンソク監督)などに出演。『The Witch/魔女』(18
/パク・ソンジョン監督)、「Set Me Free(英題)」(14/キム・、
テヨン監督)では青葉賞ほか数多くの新人賞を受賞、若手実力派のひ」
とりとして注目を集める。ボン・ジュノ監督作への出演は、Netfixオ
リジナル映画「オクジャ/okja」(1)に続き、2作品目となる。

パク・ソダム
PARK So Dam
1991年9月8日生まれ。大韓民国出身。韓国芸術総合学校通劇院卒業
後、「スティール・コールド・ウインター~少女~」(13/チェ・ジ
ンソン監督)で映画デビュー。その後、「殺されたミンジュ』 (14/
キム・ギドク監督)、「京城学校:消えた少女たち」(14/イ・ヘ
ヨン監督)、『愛のタリオ』(14/イム・ビルソン監督)に出演。
『プリースト悪魔を葬る者』(15/チャン・ジェヒョン監査)では
悪霊に悩まされる少女を演じるため、丸刈りにして役に挑み、徹底し、
た役作りが絶賛された。そのほか「ベテラン』(15/リュ・スンワン」
監督)、『王の運命歴史を変えた八日間』(15/イ・ジューク
督)、「プロミス〜氷上の女神たち〜」(16/キム・ジョンヒョン」
監督)など。

他の出演者の方はこちら。

イ・ソンギュン
チョヨジョン
LEE Sun Kyun
as パク・ドンイク

CHO Yeo Jeong
as パク・ヨンギョ

チョン・ジソ
JUNG Ziso
as パク・ダン

チョン・ヒョンジュン
JUNG Hyeon Jun
as パク・ダソン

ABOUT ME
Faust
1980年代生まれで東京都府中市育ち。大学は物理化学専攻してメーカへ。 Engineer of Python, Angular. Analyzing data and building app at Awesome Rainbows LCC. #SDGs #Python

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